歯周病と歯ぎしりの関係性とは?悪化する理由や対策について解説
歯周病と歯ぎしりは、一見すると別の問題のように思われるかもしれません。歯周病は、主にプラークに含まれる細菌によって歯ぐきや歯を支える組織に炎症が起こる病気です。一方、歯ぎしりは、歯や顎、歯を支える組織に過剰な力が加わる問題です。
つまり、歯ぎしりそのものが歯周病を直接発症させるわけではありません。しかし、すでに歯周病がある場合や、歯を支える骨が減っている場合には、歯ぎしりや食いしばりによる強い力が加わることで、歯の動揺や噛んだときの痛み、歯周病の進行に影響することがあります。
歯周病と歯ぎしりは、「細菌による炎症」と「力による負担」という異なる問題です。そのため、どちらか一方だけを見るのではなく、それぞれの状態を分けて確認し、必要に応じて両方に対応することが大切です。
今回は、歯周病と歯ぎしりの関係性、歯周病が悪化する理由、対策について、世田谷駅・上町駅から通える歯医者 世田谷まきの歯科が解説します。
1. 歯周病と歯ぎしりの関係性とは?
歯周病と歯ぎしりは、それぞれ原因が異なります。歯周病はプラークに含まれる細菌による炎症が中心であり、歯ぎしりは歯や歯周組織に加わる力の問題です。
ただし、歯周病がある状態で歯ぎしりや食いしばりが加わると、歯を支える組織への負担が大きくなることがあります。まずは、両者の関係性を整理していきます。
①歯ぎしりは歯周病の直接原因ではない
一般的に歯を失う大きな原因の一つとされる歯周病は、主に口腔内細菌に由来するプラーク起因性の炎症によって起こります。歯周病は、噛み合わせや歯ぎしりだけで発症する病気ではありません。
そのため、歯ぎしりがあるからといって、それだけで歯周病になるわけではありません。口腔内の衛生状態が良好に保たれていれば、歯ぎしりだけで歯周病が発症する心配は少ないと考えられます。
ただし、歯ぎしりによる歯のすり減り、歯の破折、顎の疲れ、顎関節への負担など、歯周病とは別の問題が起こることはあります。そのため、歯ぎしりも放置してよい問題ではありません。
②歯周炎があると歯ぎしりの影響を受けやすい
歯ぎしりが歯周病とまったく関係ないかといえば、そうではありません。歯ぎしり単独で歯周病が発症するわけではありませんが、すでに歯周病があるところに歯ぎしりや食いしばりによる強い力が加わると、歯周病の進行に影響する可能性があります。
また歯周病が進行すると、歯を支える骨や歯根膜などの歯周支持組織が失われていきます。その状態で強い力が繰り返しかかると、歯が揺れやすくなったり、噛んだときに痛みが出たりすることがあります。
つまり、歯ぎしりがある方が歯周病を放置している状態は、リスクが高い状態といえます。まずは細菌による炎症を抑え、そのうえで力の問題を確認することが重要です。
③歯を支える骨が減ると通常の力でも負担になる
歯周病の治療によって炎症が落ち着いたとしても、失われた歯周支持組織が元通りになるとは限りません。歯を支える骨が減った状態では、以前よりも歯が力に弱くなることがあります。
この状態で歯ぎしりや食いしばりが加わると、支持組織を失った歯では噛み合わせの力を十分に支えきれず、歯の動揺や噛んだときの痛みにつながることがあります。
また、重度の歯周病では、通常であれば問題になりにくい噛む力でも、支持力が低下した歯にとっては大きな負担になることがあります。このような状態を二次性咬合性外傷と呼ぶことがあります。
④歯ぎしり・食いしばりは咬合性外傷につながることがある
歯周支持組織がしっかりしていれば、通常の噛む力だけで大きな問題が起こることは多くありません。しかし、夜間の歯ぎしりや強い食いしばりでは、日中の食事中とは異なる大きな力が歯に加わることがあります。
強い力が繰り返しかかると、歯が欠ける、歯がすり減る、歯の根にひびが入る、顎関節に負担がかかる、歯周支持組織に傷害が起こるといった問題につながることがあります。
歯周病によって歯を支える組織が減っている場合、深刻なダメージにつながりやすいので特に注意が必要です。
⑤歯周病と力の問題は分けて考える必要がある
歯周病は、あくまでもプラークに含まれる細菌による炎症が主な原因です。一方、歯ぎしりや食いしばりは、歯や歯周組織に加わる力の問題です。
両者には関係がありますが、同じ原因で起こるものではありません。そのため、歯周病の治療では、まずプラークコントロールや歯周病治療によって炎症を抑えることが基本になります。そのうえで、歯ぎしりや食いしばりによる力の影響がある場合には、必要に応じて別に対応していきます。
歯周病と歯ぎしりは、分けて考えることが大切です。一つずつ適切に対処していけば、過度に恐れる必要はありません。
2. 歯ぎしりによって歯周病が悪化する理由
歯ぎしりは、歯周病の直接原因ではありません。しかし、歯周炎がある状態で強い力が加わると、歯周組織への負担が大きくなり、歯の動揺や局所的な進行に関係することがあります。
ここでは、歯ぎしりや食いしばりが歯周病に影響する理由を解説します。
①歯根膜や歯槽骨に負担がかかる
歯は、歯槽骨という骨に直接くっついているわけではなく、歯根膜という組織を介して支えられています。噛む力が加わると、歯根膜や歯槽骨がその力を受け止めます。
歯ぎしりや食いしばりによって強い力が加わると、歯根膜や歯槽骨に負担がかかります。歯周組織が健康な場合には適応できることもありますが、歯の本数が少なかったり、歯周炎によって支持組織が減っている場合は、同じ力でも負担が大きくなりやすくなります。
過去には、プラークによる炎症と咬合力による組織変化が重なることで、歯周組織破壊が進みやすくなるという考え方が示されてきました。現在でも、細菌による炎症がある部位に過剰な力が加わると、歯周病の進行に影響する可能性があると考えられています。
②歯が揺れやすくなる
歯周炎が進行すると、歯を支える骨や歯根膜などの歯周支持組織が減少し、歯が揺れやすくなります。
また、歯ぎしりや食いしばりによって強い負荷が加わると、歯根膜に炎症が起こり、歯根膜腔が広がることがあります。その結果、歯が揺れているように感じたり、噛んだときに違和感や痛みが出たりすることがあります。
歯の動揺には、歯周病による支持組織の減少が関係する場合と、力による一時的な変化が関係する場合があります。どちらが主な原因かを確認することが重要です。
③炎症がある部位では組織破壊に影響することがある
歯周病による炎症がある部位に、歯ぎしりや食いしばりによる強い力が加わると、歯周組織の破壊に影響する可能性があります。
ただし、ここで重要なのは、不可逆的な歯周組織の破壊の主な原因は、あくまでもプラークに含まれる細菌による炎症であるという点です。歯ぎしりだけに対応しても、細菌のコントロールが不十分であれば、歯周病の進行を抑えることはできません。
そのため、歯周病と歯ぎしりがある場合でも、まず優先すべきなのはプラークコントロールと歯周病治療です。その後、歯ぎしりや食いしばりによる問題が残る場合には、力への対応を検討します。
④垂直性骨吸収や骨縁下ポケットに関係することがある
歯周炎がある部位に咬合性外傷が加わると、歯周病の進行が局所的に早くなる可能性があります。特定の歯に強い力が集中すると、その部分で骨吸収が進み、垂直性骨吸収や骨縁下ポケットがみられることがあります。
垂直性骨吸収とは、歯の周囲の骨が部分的に深く失われる状態です。骨縁下ポケットとは、歯周ポケットの底が周囲の骨の縁よりも深い位置にある状態を指します。
これらは、歯周病の進行が局所的に強い部位でみられることがあります。歯ぎしりや食いしばりがある場合は、歯周ポケットの深さや骨の状態、噛み合わせの負担を総合的に確認することが大切です。場合によっては、噛み合わせの調整をする必要があります。
⑤重度歯周炎では二次性咬合性外傷に注意が必要
重度歯周炎では、歯を支える骨や歯根膜などの歯周支持組織が大きく減少しています。そのため、通常の噛む力であっても、支持力が低下した歯にとっては大きな負担になることがあります。
このように、歯周支持組織が減少した歯に、通常または過剰な力が加わって起こる問題を、二次性咬合性外傷と呼ぶことがあります。
そこに夜間の歯ぎしりや強い食いしばりが加わると、歯の動揺、噛んだときの痛み、歯周組織への負担がさらに大きくなる可能性があります。歯周病の治療によって歯を残せたとしても、その後の力の管理が不十分であれば、長期的な安定が難しくなる場合があります。
重度歯周炎では、炎症のコントロールだけでなく、噛み合わせや歯の動揺を含めた管理が重要です。
3. 歯周病や歯ぎしりへの対策
歯周病と歯ぎしりは、同じ原因で起こるものではありません。そのため、対策も分けて考える必要があります。
歯周病に対しては、プラークコントロールと歯周病治療によって炎症を抑えることが基本です。歯ぎしりや食いしばりに対しては、歯や歯周組織にかかる負担を確認し、必要に応じてナイトガードや咬合調整、固定などを検討します。
①プラークコントロールを徹底する
歯周病への対策で特に重要なのは、プラークコントロールです。歯周病はプラークに含まれる細菌による炎症が主な原因であるため、歯ぎしりへの対策だけでは歯周病の進行を抑えることはできません。
毎日の歯みがきに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシを使用し、歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間にプラークを残さないことが大切です。
歯の喪失リスクを下げるうえで、プラーク起因性の歯周病への対策は、実行しやすく効果も期待しやすい重要な方法です。まずは、細菌による炎症を抑えることを優先しましょう。
②歯周病治療で炎症を抑える
歯周病の治療では、患者さん自身のセルフケアに加えて、歯医者での専門的な治療が必要です。
歯石や歯周ポケット内の細菌性の汚れは、歯みがきだけでは取り除けないことがあります。歯医者では、歯周検査によって歯周ポケットの深さや出血の有無を確認し、必要に応じてスケーリング・ルートプレーニングなどの歯周病治療を行います。
歯周病と歯ぎしりがある場合でも、最初に確認すべきなのは炎症の状態です。炎症が残っている状態で力の問題だけに対応しても、歯周病の根本的な管理にはつながりません。
③歯ぎしり・食いしばりのサインを確認する
歯ぎしりや食いしばりは、自分では気づきにくいことがあります。特に睡眠中の歯ぎしりは、本人に自覚がないまま続いていることが多いです。
朝起きたときに顎が疲れている、歯がすり減っている、歯が欠けやすい、詰め物や被せ物がよく外れる、頬の内側や舌に歯の跡がつく、噛む筋肉が張っているなどの症状がある場合は、歯ぎしりや食いしばりが関係している可能性があります。
ただし、歯ぎしりや食いしばりを止める方法は、まだ十分に確立されていません。そのため、歯や歯周組織にどの程度の影響が出ているかを確認し、リスクに応じて対応を検討することが大切です。
④必要に応じてマウスピースを使う
歯ぎしりや食いしばりによる歯への負担を軽減するために、就寝時にマウスピースを使用することがあります。マウスピースは、歯ぎしりそのものを止める装置ではありませんが、歯のすり減りや破折、特定の歯への過剰な負担を軽減する目的で使用されます。
年齢に対して歯のすり減りが強い方、歯の破折がみられる方、詰め物や被せ物のトラブルを繰り返す方、歯周炎によって支持組織が減っている方では、ナイトガードを検討することがあります。
一方で、ナイトガードがすべての方に必要なわけではありません。装着によって違和感が出る、睡眠の質が下がる、口が乾きやすくなるなどの問題が起こる場合もあります。歯周病の状態、歯のすり減り、噛み合わせ、生活への影響を確認したうえで、使用するかどうかを判断することが大切です。
⑤動揺が強い歯は咬合調整や固定を検討する
歯周炎によって歯を支える組織が減少すると、歯が動きやすくなることがあります。歯の動揺そのものが、すぐに歯を失う原因になるわけではありませんが、動揺が進行している場合や、食事に支障が出ている場合は注意が必要です。
必要に応じて、噛み合わせの負担を確認し、咬合調整や動揺している歯の固定を検討することがあります。固定によって歯の揺れが抑えられ、噛んだときの不快感が軽減する場合があります。
ただし、固定はすべてのケースで行うものではありません。固定材を過剰につけると清掃性が悪くなり、かえってプラークが残りやすくなることがあります。固定を検討する場合は、歯を安定させることだけでなく、清掃しやすい状態を保てるかどうかも重要となります。
⑥定期的なメインテナンスで炎症と力の両方を確認する
歯周病や歯ぎしりの管理では、定期的なメインテナンスが重要です。歯周病は再発しやすく、歯ぎしりや食いしばりは自覚しにくいため、継続的に状態を確認する必要があります。
メインテナンスでは、プラークの付着、歯石、歯周ポケット、出血、歯の動揺、噛み合わせ、歯のすり減り、詰め物や被せ物の状態などを確認します。
歯を支える骨が減っている方や、歯に人工物が多い方では、歯ぎしりの影響が出やすくなることがあります。むし歯や歯周病を予防・治療したうえで、必要に応じて歯ぎしりへの対策を立てることが、長期的に歯を守ることにつながります。
4. 世田谷駅・上町駅から通える歯医者 世田谷まきの歯科の歯周病治療について
世田谷まきの歯科では、歯周病の早期発見と予防を重視した治療を行っています。歯周病は自覚症状がないまま進行し、歯を支える組織に回復が難しいダメージを与える疾患です。放置すると、将来的に歯を失うリスクが高まります。
歯ぎしりや食いしばりがある方では、歯周病の状態を正しく確認することが重要です。歯ぎしりだけで歯周病が発症するわけではありませんが、歯周炎によって歯を支える組織が減っている場合には、強い力が歯の動揺や噛んだときの痛みに関係することがあります。
「歯石取りだけで完結する」という誤解も少なくありませんが、歯周病の管理には、正しい知識と専門的なアプローチが必要です。当院では、単にお口の汚れを取るだけでなく、専門的知見に基づいた「末永くご自身の歯で噛み続けるための歯周病治療」を大切にしています。
【世田谷駅・上町駅周辺から通える歯医者 世田谷まきの歯科の歯周病治療の特徴】
当院の歯周病治療のポイント①:再発を防ぐための原因追及と除去
歯周病は、汚れを取るだけでは一時的な処置にとどまることがあります。当院では、「なぜ進行したのか」という原因を確認し、再発リスクを下げるための治療を重視しています。
プラークや歯石の付着、歯周ポケット、出血、清掃状態、詰め物や被せ物の清掃性、噛み合わせの負担などを確認し、歯周病の進行や再発に関係する要素を一つずつ整理していきます。
当院の歯周病治療のポイント②:歯ぎしり・食いしばりの影響も確認する
歯周病の治療では、細菌による炎症の管理が基本です。そのうえで、歯ぎしりや食いしばりによる力の問題がある場合は、歯の動揺、咬耗、噛んだときの痛み、詰め物や被せ物のトラブルなども確認します。
歯周病と力の問題を混同せず、それぞれを分けて評価することで、必要な治療や管理方法を検討します。
当院の歯周病治療のポイント③:患者さんと二人三脚で進める治療
歯周病の治療は、歯医者での処置だけでは成り立ちません。毎日のセルフケアが治療結果に大きく関わるため、患者さんの理解と協力が欠かせません。
当院では、お口の現状と将来のリスクを検査するだけでなく、患者さんと共有し、理解していただくことを重視しています。10年、20年先を見据え、納得して治療やメインテナンスに取り組めるようサポートします。
当院の歯周病治療のポイント④:患者さんと作り上げる治療計画
治療計画は、歯周病の進行度だけで決まるものではありません。患者さんのご要望や価値観、生活背景、通院のしやすさ、セルフケアの状態なども踏まえて考える必要があります。
歯科医師としての客観的な意見をお伝えしながら、患者さんの気持ちも丁寧に確認し、一緒により良い治療ゴールを目指します。
当院の歯周病治療のポイント⑤:通院を継続しやすい診療体制
歯周病や歯ぎしりの管理では、継続的な確認が重要です。お仕事や家事で忙しい方でも通いやすいよう、当院では平日は昼休みを設けず18時まで診療しています。土曜日・日曜日も17時まで診療を行っており、計画的な治療とメインテナンスをサポートします。
歯周病は「気づいたときには進行している」ことがある病気です。歯ぎしりや食いしばりがある方、歯の揺れや噛んだときの痛みが気になる方は、歯周病と力の問題を分けて確認することが大切です。
将来もご自身の歯でしっかり噛み続けるために、世田谷駅・上町駅周辺で歯医者をお探しの際はご相談ください。
まとめ
歯周病と歯ぎしりは、それぞれ原因が異なります。歯周病は主にプラークに含まれる細菌によって起こる病気であり、歯ぎしりだけで歯周病が発症するわけではありません。
一方で、歯周炎によって歯を支える骨や歯根膜などの歯周支持組織が減っている場合、歯ぎしりや食いしばりによる強い力が加わることで、歯の動揺や噛んだときの痛み、歯周病の進行に影響することがあります。
歯周病と歯ぎしりへの対策では、まずプラークコントロールと歯周病治療によって炎症を抑えることが基本です。そのうえで、歯ぎしりや食いしばりのサインがある場合は、ナイトガード、咬合調整、歯の固定、定期的なメインテナンスなどを検討します。
歯周病や歯ぎしりについてお悩みの方は、世田谷駅・上町駅周辺から通える歯医者 世田谷まきの歯科までお問い合わせください。
【監修】
牧野 友亮(世田谷まきの歯科 院長 / 歯科医師)
【経歴】
・2009年 昭和大学臨床研修
・2010年 志田歯科医院
・2012年 スウェーデンデンタルセンター
・2017年 世田谷まきの歯科 開院
【所属学会】
・日本歯周病学会
・日本顕微鏡歯科学会
・日本口腔インプラント学会