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歯周病が進行すると抜歯が必要?抜歯をするかどうかの判断基準とは

歯周病は、適切な歯周治療と継続的な管理によって、進行を抑え、安定した状態を目指すことができます。
一方で、歯周病は現在でも歯を失う原因の約4割を占める疾患です。歯を支える組織が大きく失われ、歯周病治療を行っても長期的な保存が難しいと判断される場合には、感染や周囲の歯への影響を考慮して、抜歯が検討されることもあります。
しかし、患者さんの立場では、抜歯を提案されると「本当に抜かなければならないのか」「治療によって残すことはできないのか」と疑問や不安を感じることもあるでしょう。
そこで今回は、歯周病で抜歯が検討されるケースやその判断基準、歯を残せる可能性、保存が難しい歯を抜かずに残すリスクについて、世田谷駅・上町駅周辺から通える歯医者 世田谷まきの歯科が解説します。

 

1. 歯周病が進行すると抜歯が必要?抜歯が検討されやすいケース

歯周病が進行すると、歯の状態によっては抜歯が検討されることがあります。ただし、「骨が何%失われたら抜歯する」といった、すべての患者さんに共通する画一的な基準があるわけではありません。
抜歯するかどうかは、その歯の状態だけでなく、ほかの歯や噛み合わせへの影響、全身の健康状態、年齢や生活背景、歯周病の治療後に予定している入れ歯・ブリッジ・インプラントなどの治療方法も含めて、総合的に判断されます。また、歯を残すことで得られる利益と、残すことによって生じるリスクの評価は、歯科医師の治療方針や経験によって異なる場合があります。
そのため、抜歯を提案された患者さんが、「本当に抜く必要があるのか」「治療によって残せないのか」と不安や疑問を感じるのは自然なことです。ここでは、歯周病によって抜歯が検討されやすい主なケースについて解説します。

 

①歯を支える組織が大きく失われている

歯周病が進行すると、歯を支えている顎の骨や歯根膜などの歯周組織が失われます。骨の支えが著しく少なく、歯周病治療を行っても十分な安定や機能の回復が見込めない場合には、抜歯が検討されることがあります。
ただし、骨が減っているという理由だけで、直ちに抜歯が決まるわけではありません。骨の残り方や欠損の形、歯根の長さ、根分岐部病変の有無、清掃のしやすさなども含めて判断します。

 

②歯のぐらつきが強く、噛む機能の回復が難しい

歯を支える組織が大きく失われると、歯のぐらつきが強くなり、食事の際に痛みが出たり、十分に噛めなくなったりすることがあります。
一方、歯のぐらつきは、歯周病による炎症や噛み合わせの負担によって一時的に強くなっている場合もあります。そのため、動揺の程度だけで判断せず、歯周基本治療や噛み合わせの調整、隣接する歯との固定などによって改善する可能性を確認します。それでも十分な安定が得られず、噛む機能の回復が難しい場合には、抜歯が検討されることもあります。

 

③炎症や排膿を繰り返し、治療後も改善が得られない

歯ぐきから膿が出たり、腫れや痛みを繰り返したりする場合は、その部位に歯周病の感染や炎症が残っている可能性があります。
ただし、膿が出るという所見だけで抜歯が決まるわけではありません。歯周膿瘍、歯の根の感染、歯根破折、根分岐部病変など、原因を確認したうえで治療を行います。適切な歯周病治療を行っても炎症をコントロールできず、再発を繰り返す場合には、抜歯が検討されることがあります。

 

④歯根が割れており、保存が難しい

歯根破折は、歯の根にひびや割れが生じた状態です。歯周病が進行したために歯根が割れるとは限りませんが、破折部から細菌が侵入すると、局所的に深い歯周ポケットや骨吸収が生じ、歯周病と似た症状を示すことがあります。
破折の位置や範囲によっては、割れた歯根だけを取り除いて歯の一部を残せる場合もあります。しかし、歯根全体に破折が及んでいる場合や、感染と骨吸収が広範囲に進んでいる場合には、抜歯が必要になることがあります。

 

⑤残すことで周囲の歯や今後の治療に悪影響を及ぼす

保存が難しい歯に歯周病の感染や炎症が残っていると、その周囲の骨がさらに失われ、隣接する歯の支持組織や、今後予定している入れ歯・ブリッジ・インプラントなどの治療に影響する場合があります。

 

⑥全身状態によって感染源を残すリスクが高い

糖尿病、とくに血糖コントロールが不良な場合や、免疫抑制薬を使用している場合などは、感染への抵抗力や傷の治りやすさが低下していることがあります。そのため、歯周病による感染を十分にコントロールできない歯を残すリスクは、全身状態に問題のない方よりも高くなります。
このような場合には、歯を残せる可能性だけでなく、感染の再発や拡大、全身状態への影響も考慮する必要があります。そのため、長期的な安定が見込めない歯については、全身状態に問題のない方と比べて、抜歯を検討する基準が低くなる場合があります。
また、骨粗鬆症やがんの治療で骨吸収抑制薬などを使用している場合は、抜歯後の顎骨壊死に注意が必要です。しかし、歯周病の感染源となる歯を残すこと自体が顎骨壊死などのリスクを高める可能性もあります。薬剤を使用していることだけを理由に抜歯を避けるのではなく、感染の程度、歯の保存可能性、薬剤の種類や投与状況を確認し、必要に応じて医科の主治医と連携しながら判断します。
歯を残すことには大きな価値がありますが、残すこと自体が目的ではありません。その歯を保存する利益と、感染や骨吸収が続くリスクを比較し、口腔内全体の長期的な安定を考えて抜歯を検討します。

 

2. 歯周病で抜歯を提案されたときに確認したいこと

歯周病で抜歯を提案されたときには、単に「抜くか、抜かないか」だけでなく、歯を残した場合と抜歯した場合の見通しを比較することが大切です。十分な説明を受け、自分が何を優先したいのかを歯科医師と共有したうえで、治療方針を検討しましょう。

 

①すぐに抜歯が必要なのか、治療後に再評価できるのか

歯根破折や著しい歯周組織の喪失などにより、保存が困難であることが明らかな場合には、早い段階で抜歯が検討されます。
一方、歯周病の炎症によって歯のぐらつきや歯周ポケットが一時的に悪化している場合など、初診時には保存できるか判断しにくいこともあります。その場合は、歯周基本治療によって炎症を抑えた後に再検査を行い、治療への反応を確認してから抜歯の必要性を判断できることがあります。

 

②歯を残した場合の見通しとリスクを確認する

歯を残せる可能性がある場合には、どのような歯周病治療が必要なのかだけでなく、治療後にどの程度の安定が期待できるのかを確認することが大切です。
歯を残しても、歯周病による炎症や排膿を繰り返す可能性があるのか、十分に噛める状態を維持できるのか、周囲の骨や隣の歯に影響しないのか、継続的に清掃できるのかなどを確認します。
歯の寿命を正確に予測することは困難ですが、保存した場合に考えられる利益とリスクについて説明を受けることで、治療を選択しやすくなります。

 

③歯を残すために必要な治療と、その限界を知る

歯を残すためには、歯周基本治療だけでなく、歯周外科治療、歯周組織再生療法、噛み合わせの調整、隣接する歯との固定、根管治療などが必要になる場合があります。
ただし、すべての歯にこれらの治療を行えるわけではありません。治療期間や費用、身体的な負担、治療後に必要となる管理も含めて、保存治療を行う価値があるかを検討する必要があります。
「治療できる可能性があること」と、「長期的に安定して残せること」は同じではありません。どこまで治療を行い、どの時点で抜歯へ方針を変更するのかも確認しておくことが大切です。

 

④抜歯した後の治療方法まで確認する

抜歯を行う場合には、歯を抜いた後にどのように噛む機能を回復するのかも重要です。
抜歯後の選択肢には、入れ歯、ブリッジ、インプラントなどがありますが、歯の位置、残っている歯の状態、顎の骨の量、全身状態、患者さんの希望によって適した方法は異なります。歯の位置や噛み合わせによっては、抜歯後に歯を補わずに経過をみる場合もあります。
抜歯後の治療期間、費用、周囲の歯への影響、日常生活への影響まで確認したうえで、治療全体を検討しましょう。

 

⑤歯周病治療後に必要な管理を続けられるか考える

歯を残した場合も、抜歯後に入れ歯・ブリッジ・インプラントなどの治療を受けた場合も、治療後の管理は必要です。
歯周病は、治療によって状態が改善しても、再発する可能性があります。毎日のプラークコントロールと、口腔内の状態に応じた定期的なメンテナンスを継続できるかどうかは、歯を残す判断や治療後の長期的な安定にも影響します。

 

⑥納得できない場合は、ほかの歯科医院の意見も参考にする

抜歯は、行った後に元へ戻すことのできない処置です。説明を受けても判断に迷う場合や、歯を残せる可能性について別の意見を聞きたい場合には、セカンドオピニオンを受けることも選択肢の一つです。
ただし、強い腫れや痛みがある場合、感染が周囲へ拡大するおそれがある場合などは、治療を先延ばしにすることで状態が悪化する可能性があります。正式なセカンドオピニオンは、原則として保険適用外です。一方、別の歯科医院で改めて診察や検査を受け、治療方針を検討してもらう通常の受診では、診療内容に応じて健康保険が適用される場合があります。
歯周病による抜歯の判断では、歯を残すことだけを目的にするのではなく、その歯が今後も安定して機能できるか、感染源として周囲へ悪影響を及ぼさないか、治療後の管理を続けられるかを考える必要があります。
歯を残した場合と抜歯した場合の利益とリスクをそれぞれ理解し、患者さん自身が納得できる治療方針を歯科医師と一緒に検討することが大切です。

 

3. 世田谷駅・上町駅から通える歯医者 世田谷まきの歯科での歯周病の抜歯基準について

世田谷まきの歯科では、可能な限りご自身の歯を残すことを診療方針としています。
歯を支える骨が大きく失われていることや、歯のぐらつきが強いことだけを理由に、直ちに抜歯を決めることはありません。重視しているのは、歯を支える歯周靱帯(歯根膜)がどの程度残っているか、になります。
複数の歯根を持つ奥歯では、歯全体を一つとして判断するだけでなく、歯根ごとに状態を確認します。一部の歯根だけに重度の骨吸収や感染が認められる場合には、病変のある歯根だけを取り除き、保存可能な部分を残せないか検討します。
また、歯根の先端付近まで歯周組織の喪失が認められる場合でも、そのすべてが歯周病によるものとは限りません。むし歯などを原因として歯の神経が感染し、歯根の先端から周囲の組織へ炎症が広がっている場合には、根管治療によって改善できる可能性があります。そのため、歯周病による病変なのか、歯の内部から生じた病変なのか、あるいは両方が関係しているのかを診断することが重要です。
歯周組織再生療法についても、歯周組織の喪失が大きいという理由だけで適応外になるわけではありません。歯の周囲に再生の基盤となる組織が残っており、骨欠損の形態、歯根の状態、炎症のコントロール、毎日のプラークコントロールなどの条件が整えば、再生療法によって歯周組織の回復を目指せる場合があります。
一方で、歯を残すための治療を行っても、歯周病による炎症や排膿を十分にコントロールできない場合や、噛む機能の回復が見込めない場合、周囲の歯や顎の骨へ悪影響を及ぼす可能性が高い場合には、抜歯を提案することがあります。
それでもすぐに抜歯を行うことに納得できない場合には、歯を残すことで考えられる利益と、感染や骨吸収が進行するリスクを説明したうえで、短い間隔で歯周病の状態を確認しながら経過をみる選択肢について相談することもあります。ただし、感染が急速に拡大している場合や、周囲の組織・全身状態への影響が懸念される場合には、経過観察を推奨できないこともあります。

 

4. 当院が抜歯を行うための最終的な条件

当院が抜歯を行うための最終的な条件は、医学的に抜歯が妥当であると判断され、その理由、歯を残すための選択肢、抜歯せずに残すリスク、抜歯後の治療方法について説明したうえで、患者さんが内容を理解し、納得されていることです。
これは、患者さんが希望すれば、医学的に成立しない治療や、利益よりも危険性が大きい治療を行うという意味ではありません。しかし、抜歯は、ご自身の身体の一部を失い、元の状態へ戻すことのできない処置です。歯科医師に勧められたからという理由だけで、不安や疑問を抱えたまま治療を受ける必要はありません。
当院では、歯科医師として医学的な見解を明確にお伝えしたうえで、患者さんが何を大切にしたいのかを伺います。医学的に可能な範囲で患者さんの気持ちや価値観を尊重し、十分に話し合ったうえで治療方針を決めることが大切だと考えています。他院で抜歯を勧められたけれど迷っている方や、本当に抜歯が必要なのか納得して決めたい方は、世田谷駅・上町駅周辺で歯医者をお探しの際はぜひ一度ご相談ください。

 

世田谷駅・上町駅から通える歯医者 世田谷まきの歯科の歯周病について詳しくはこちら

 

まとめ

歯周病が進行していても、骨の減少量や歯のぐらつきだけで、直ちに抜歯が決まるわけではありません。歯周組織の付着がどの程度残っているか、治療によって炎症や感染をコントロールできるか、噛む機能を回復できるかなどを総合的に判断します。
一方で、歯周病治療を行っても感染や排膿を抑えられず、周囲の歯や顎の骨、全身状態に悪影響を及ぼす可能性が高い場合には、抜歯が適切な選択となることがあります。
抜歯は元に戻すことのできない処置です。当院では、歯を残した場合と抜歯した場合の利益とリスク、抜歯後の治療方法まで説明し、患者さんが十分に納得したうえで治療方針を決定することを大切にしています。
歯周病や抜歯の判断でお悩みの方は、世田谷駅・上町駅から通える歯医者 世田谷まきの歯科までお問い合わせください。

 

【監修】
牧野 友亮(世田谷まきの歯科 院長 / 歯科医師)

【経歴】
・2009年 昭和大学臨床研修
・2010年 志田歯科医院
・2012年 スウェーデンデンタルセンター
・2017年 世田谷まきの歯科 開院

【所属学会】
・日本歯周病学会
・日本顕微鏡歯科学会
・日本口腔インプラント学会

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